鈴木くんと彼女の不思議な関係
私だって大損よ

「待てよ。清水っ。」

 午後、クラス全員の応援の中、鈴木達のチームは決勝戦に勝利し優勝を決めた。試合を終えた鈴木達を皆でねぎらった後、既に制服に着替えていた私達がそのまま帰途につこうとすると、鈴木が体操服のまま、私を追いかけて来た。
 女友達を無視して、私一人の腕を掴んで、校舎に沿った校庭の隅に連れて来ると、弱り切った顔で訴え始めた。

「お前、多恵の目の前でなんてことするんだよ。」
私とキスした事実より、多恵に誤解されていないかのほうが心配らしい。やれやれ。

「あんた、まだそんなこと気にしてるの?」
「気にするだろ。普通。」
「いいかげんに目を覚ましたらどうなの。あんたは多恵にフラレたの!」
「そんなの、わかってるよ。」
「もう多恵にちょっかい出さないで。」
「だからなんで?まさかお前、俺に気があるの?」
「。。。。そんなんじゃないわよっ!」
「だったら、なんで俺にキ、、キスとかするんだよ。それもみんなが見てる前で。」

紅い顔をしてモゴモゴ言葉を濁す鈴木は、結構、可愛い。とか言ってる場合じゃないけど。
< 75 / 120 >

この作品をシェア

pagetop