甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
私が座ってる方は、左側が壁だ。

「………」

ジリッ…

「俺のこと…付き合ってる女がいるのに君に言い寄ってくる不誠実な野郎だと思った?それで怒ってた?」

ん?…壁に追いやられ、宮澤さんが上目遣いで私を見つめてくる。

うわ〜〜〜!

「あの!不誠実な人だなんて思いませんでした。ただ、残り香に気付いた時、やっぱりな…て、宮澤さん、素敵な人だから、本命の彼女さんはちゃんといて、私はドジな後輩で、たまたま成り行きで京都まで乗せてくれてるんだと…」

「………」

「お、怒ってなんかなくて、その時はとても悲しくて…でも、そんな気持ちを悟られちゃいけないって、必死で…私」

ガバッ…

「わわっ⁉︎」

「ごめん、不安にさせて」

優しい匂い。何だか安心できる匂い。

「ただの後輩の為に、京都まで往復なんてしないよ」

ぎゅうぅ

「君だけが好きなんだ。これから先も」

「私もです。私も宮澤さんが大好き…」

ぎゅうぅ

「俺だって不安だよ。君が俺に愛想をつかせ、去ってしまうのではないかとか。

俺が蒔いた種だけどさ、君の隣にいつも松田君がいて、いつのまにか名前で呼び合ってるのを知って、かなり凹んだ」







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