甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
グツ、グツ、グツ…

「葵さん、水菜そろそろでしょうか?」

「待って。もう少し豆腐に火が通ってからにしよう。先に青ネギ入れて…」

葵さん、鍋奉行だったのね。

仕切ってます。

任せよう。

・・・・・

「うーん。美味しいです!」

「でしょ?せっかくの新鮮な野菜だからちゃんと活かさないとね〜」

鍋の出来栄えにご満悦な鍋奉行が、満足げに微笑む。

「葵さんは一人暮らしなんですか?
いつも、ご飯どうしてます?」

もしかして、野菜をあまり食べてないかもと心配になった。

「一人で住んでる。料理は嫌いじゃないが、遅く帰ってきて、それから作ろうって気になれない。コンビニにお世話になりっぱなしだよ」

と苦笑いだ。

「野菜!いっぱい食べてくださいね。一週間分‼︎ 」

「ぶっ!はいはい」

「ニンジンも食べてみましょう。味が染みてて美味しいで…『嫌です』」

(頑固だ…)

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