甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
鍋を片付け、買い置きのバニラアイスを一緒に食べる。

「フラワーアレンジは、いつから始めたの?」

部屋のあちこちに置いてある作品を見ながら、葵さんが尋ねる。

「一年くらい経ちます。昔からお花を飾ることが好きだったんですけど、生花だと枯れちゃうなぁて残念に思ってた頃、シュウさんのお店で、シルクフラワーを見つけたんです」

初めて"アトリエ シュウ"へ行った日のことを思い出していた。

「初めてお店に行って、花材を見てたらすごく親切に話しかけてきてくれるお兄さんがいて…それがシュウさんだったんですけど、

フローリストのシュウっていったら、クールなことで有名じゃないですか。
そんな気さくな方だと思わなくて、すごく驚きました」

「そうだな…テレビ出演の時は気取ってるもんな。素のアイツは、ああいう奴だよ」

「葵さんと一緒ですね。会社ではポーカーフェイスで近寄り難いけど、素の葵さんは、優しくて…ときどきかわいい」

「かわいい?…俺のこと?」

< 111 / 159 >

この作品をシェア

pagetop