甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】

気になる彼女*葵side

土曜日の朝
わがままな兄の修斗から、店に作品を取りに来るよう電話が架かってきた。

ひらめいた時に作品を作ってしまうから作品を置くスペースがなくなると、俺の空き部屋をアテにする。

買いたい本があった俺は、三光堂へ寄った。

目的の本を買い、雑誌コーナーを通りかかった時、雑誌を眺めながら頬を染めニコニコしている佐久間 都を見つけた。

総務部 広報誌 二年目
クルクルと動く大きな瞳に、右側だけに出来るエクボ、ふんわり緩くウエーブがかった柔らかそうな髪…。
美人というより、美少女といった風貌。

時々、そのふんわりウエーブの髪をなびかせて廊下を走っている姿を見かける。

彼女はモテる。けど、いつも仕事を一生懸命に頑張ってて、男たちのアプローチに全く気付いていない。

シーンとした本屋で、いきなり俺を呼び捨てで叫んだと思ったら、脱兎のごとく逃げるし。

面白い。27年の人生で、自分から女のことを気にかけたことはあまりないが、彼女に興味を持った。
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