甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
楽しい時間は、早く過ぎるもので、皆ほろ酔い気分で解散だ。

さほど遅い時間じゃないから、一人で帰ると言う私に、大樹が付いてくる。

H駅からの道を二人で歩く。

「一区切りついたな…」

「うん…」

「山村 響子…だったんだな。京都で見かけたの」

「うん」

「二年前、山村 響子絡みで事件があったんだ。知ってる?」

「ううん。入社したばかりで、毎日の業務をこなすのに必死だった。

でも、大樹は知ってるんだよね?

大樹も入社したばかりで、忙しかったのに、本当に器用だね」

まあな…とおどける。

「トヨトミに、有能な男性社員がいたんだ。ちょうど…宮澤課長みたいなクールな感じの。彼には恋人がいた。

でも、響子が彼を気に入ってね、彼を手に入れるために、恋人の女性に陰湿な嫌がらせをしたんだ。
追い詰められた彼女は心を病んでしまって、彼の元を去った。

宮澤さん…かなり明らさまなアプローチ受けてたから、その事件が頭に過ぎったんじゃないか?
都に危険が及ぶことを避けたくて、都を自分から遠ざけたのかも」

「そんなこと…」

ねえ、葵さん…あなたは私を守ってくれてたの?



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