甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
7.

私に出来ること

翌日、業務上横領の疑いで、山村専務と響子が逮捕された。

葵さん始め、刷新委員会のメンバーは早速トヨトミのテコ入れの為、動き出した。

「食事…ちゃんと取ってるかな…」

葵さんの食生活が心配になった。

「そんなに心配なら、押しかけちゃえばいいのに」

いきなり後ろから美希子先輩が話しかける。

「うわぁ⁉︎ み、み、美希子先輩!」

「都ちゃんたち、じれったい。
ごちゃごちゃ考え込まないで、行動するの。

もし、彼に二度と会えない状況になったら…て想像してごらん?」

ん?葵さんと二度と会えない?

「嫌です…」

そのとおりだ。私が躊躇してるこの瞬間にも、葵さんが苦しんでたら…

「葵さんが倒れたら嫌です…」

待つだけはやめよう。

思えば、私は葵さんからの連絡が途絶えて、悲しむだけで、自分から連絡をしていない。

こんなことをしたら、言ったら迷惑じゃないか…慎重になり過ぎて、結局行動できない。

「葵さんに、してあげたいと思う事をしよう」
< 141 / 159 >

この作品をシェア

pagetop