甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
佐久間 都 (サクマ ミヤコ)23歳

地元の大学を卒業した私は、全国的にも有名な企業"トリニティ"に就職した。

総務部 広報室勤務
その中で、私の仕事は、社内広報誌を制作すること。
社内の頑張ってる人を取材したり、様々な業務を全社員に知ってもらうため、ある仕事にスポットを当て理解を深めてもらったりと、編集者になった気分だ。

パソコン上で、原稿を作成、修正していく。
ここに文章を追加してほしいとか、こういう表現にしてほしいとか、手書きで指示がきたりする。

「きれいな字…」

社内報で、我が社の主力商品の一つを紹介したくて、商品をどう魅せるかを営業企画部に協力をお願いした。

私は、打ち合わせに加わってないけど、依頼した原稿に、『よろしく』と一言だけどメモを付けてくれる人がいた。
丁寧で形の整った文字。
『よろしく』の横に『宮澤 葵』という役務者印。

文字も綺麗で、仕事も出来る女性かぁ…
と、会ったことのない『宮澤さん』像を頭の中で想像してみる

「都、おーい!戻ってきてー」

隣の席の同期、田中三奈に小声で呼ばれる。

「どうしたの?間違い見つけた?」

「ううん、この宮澤さんって、どんな素敵な女性なんだろって想像してただけ」

「宮澤さんって、宮澤 葵課長のこと?」


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