甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
H駅

なぜか改札を宮澤さんと一緒に抜け、私のマンションまでの道を並んで歩いている。

「家に、晩ご飯の用意はしてあるの?」
と聞いてくる。

「いいえ。
昨日スーパーへ行けなかったので、我が家の冷蔵庫からっぽなんですよ〜コンビニでお弁当を買って帰ります」

・・・・・

途中の三叉路で、「こっち!」と自宅とは違う方向へ促される。

着いたのは、お出汁の香りが漂う暖簾の前。

「おでんは好きかな?」

ぐーきゅるきゅる!

私の返事より前に、お腹の方が鳴ってしまった。

(また、恥ずかしいところを…)

「正直だな」とつぶやき、ニヤリと笑った宮澤さん。

ドキッ …

何だか、胸の真ん中あたりが痛い。
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