甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
戦場?いいえ、広報室です
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12月はどこの部署も忙しい。
元々の業務計画で、今年中に片付けなくてはならない業務もあるが、その他の事も何となく今年中に終わらせたくなる。
業務に優先順位をつけ、取りかかる。
部室のドアの向こうから、カッカッカッと靴音が近づいてきた。
「藤枝室長、週末に依頼した原稿に誤りがあって、原稿の差し替えと明日発送でお願いしたいんですが、間に合いますか?」
同期の法人営業部 松田 大樹だ。
松田は、大学卒業後に、自分探しの旅を欧米を中心に二年間うろうろしてたため(本人談)、同期入社だが、私たちより二つ年上の26歳。
まだ息が上がっている松田の原稿にザッと目を通した藤枝室長は、「間に合わせるしかないだろ…佐久間さん」
と私を呼ぶ。
松田の原稿を私に手渡しながら、「午後一番くらいで進捗状況を報告して」と言い「井川さん、佐久間さんのフォローして」と私より二年先輩の井川 美希子さんに指示をし、朝のミーティングへ席を立った。