甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
「人混みは苦手だよ….」そっと拒否の言葉をつぶやいてみる。

「どうせ実家のコタツでゴロゴロするだけだろ?牛になるぞ?休みは有効に利用しなくちゃ!ねえ?課長」

宮澤さんはタバコの吸い殻を缶に捨てながら「そうだな」とボソッとつぶやく。

「んじゃ、集合時間とか後でラインするから。良いお年を〜」と、松田は手をヒラヒラさせながら、給湯室から出て行った。

松田を目で追うと宮澤さんと目が合う

「林檎は好き?」と前後の会話とあまり関連ない事を聞かれる。

へっ⁈ ポカンとしてたんだろう。

続けて宮澤さんは「うちの実家から林檎がたくさん届いてね。実家に帰るなら一箱もらってくれない?田中さんも一箱どう?」

「林檎は好きですよ?」

「俺はまだ帰れないから、後で連絡するよ。アドレス交換しよう」

「は、はい!」

急な展開に少しパニックになりながら、宮澤さんと赤外線通信で連絡先を交換する。


「ちょっと〜
いつの間に進展しちゃってるのよ〜」
いろいろ聞きたがる三奈に、私自身も分かってないから、どう答えていいのか分からず、「どうしたんだろ?」と首をひねるばかりだ。



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