甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
「あの、本当にいいんでしょうか?」
おずおずと尋ねる私に、

「かまわないよ。どうせ車で行くつもりだから、そこに佐久間さんが増えても何の問題もないよ」

それより…と宮澤さん。

「随分と挑発的なかっこうだね〜」

私の胸元にチラッと目をやり、ニヤリと意地悪な顔をする。

ん?嫌な予感…「きゃっ!」

は、はだけてる!ドテラを羽織ったから安心してたけど、パジャマのボタンをちゃんと留めてない。

「ご、ご、ごめんなさい。お見苦しい物を…」あぁ恥ずかしい…。

焦る私をいつもの爽やかな笑顔で流し

「明後日の朝8時出発でいいかな?」

「はい。大丈夫です」ぺこりと頭を下げる。

「鍵をちゃんとかけてね。おやすみ」

チュッ…頬に微かな感触。

玄関のドアがパタンと閉まった。

…今のって、私キスされた?

(あれ?気持ち悪くない…ていうか、もっと触れてほしいような…?)

「えぇぇぇっ!!!」

狭い玄関で、一人絶叫した。






< 38 / 159 >

この作品をシェア

pagetop