甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
キャリー付きバッグを転がしながら宮澤さんのSUVに近づく。

なるほど…後部座席をシルクフラワーたちが占領している。

「昨日、仕事….と言ってたのは、シュウさんの作品を運んでたんですね?」

Rホテルは、シュウさんの作品で溢れてるんだぁ〜素敵だろうな…

「………」

私の問いかけに答える代わりに、宮澤さんは行きと同じく、「どうぞ」と助手席へ促される。

……⁈

香水?

シルクフラワーは造花だから、匂わないはず…。

助手席に微かに残るバニラとムスクの甘い香り…アナ○イの香水だ。

大晦日から昨晩までの間に、助手席に乗った女性がいた?

…て

何言ってんだろ。

『俺、彼女いないよ』

彼女はいなくても、宮澤さんに近づく女性が全くいないはずないじゃない。

そもそも、私が気にすること自体がおかしい。
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