甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
年が明け、お取引先や関連会社への挨拶回りをしつつ、自身の抱えている仕事をこなし、あっという間に金曜日だ。

今年の仕事初めは月曜日。

「長かった…長期休み明けから5日連続勤務って、キツイよね〜」

仕事のキリがついたらしい美希子先輩が椅子にもたれながら、つぶやく。

「同感です。美希子先輩、アップルパイどうぞ」

今日は、宮澤さんにいただいた林檎で作ったアップルパイを持ってきた。

「わあ〜ありがとう!都ちゃんの手作りなの?」

「唯一、私に作れるスイーツがアップルパイなんですよ?」

と自虐ネタ。

「三奈もどうぞ」

「都のアップルパイって、優しい味がするんだよね〜 いただきまーす!」

「お、美味そうだな」

パーテーションの向こうで打ち合わせ中だった藤枝課長が、嬉しそうにやってくる。

(藤枝課長…しっぽが見えます)

「藤枝課長、打ち合わせは何名でされてるんですか?多めに作ってきたので、良かったら人数分、どうぞ?」

「ん。じゃあ、3切れもらえるかな?」

取り分け皿にアップルパイを乗せる。

「コーヒーと一緒にお持ちしますよ?」






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