甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
今朝から、話し足りなかった三奈から『宮澤 葵』情報を聞く。

宮澤さんは、まだ入社して5年目にも関わらず課長で、彼が営業企画部に来てから、新規の企業との取引が増え、宮澤さん自身の営業成績も常にトップだとか。

プライベートはあまり分かってなくて、飲み会も一次会が終わると『お疲れ様でした』と爽やかに片手を挙げ、さっさと帰る。

『彼女はいますか?』と質問してみたくても、宮澤さんの仕事は多忙を極めていて、とても雑談を振るチャンスがなく、誰も聞いたことがないらしい。

『宮澤さん』を見たことがない私は、もし社員食堂などで彼を見つけたら教えてもらうことにし、その会話を終了した。

「お待たせしました。特製ハンバーグ定食です!」

香ばしいデミグラスソースの香りと共に注文した特製ハンバーグ定食が目の前に置かれた。

黒い鉄板の上のハンバーグにナイフを入れると、中から鮮やかな黄色のチーズがとろーりと顔を出す。

同じように作りたくて、自分でもハンバーグ種にチーズを入れて作ってみたけど、チーズの種類が違うのか、こんなふうにとろーりとはいかない。
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