甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
時刻は22時

「俺としては、このまま朝まで都と過ごしたいんだけどね…送るよ」

大樹が車のキーを手に立ち上がる。

・・・・・

地下駐車場に、ズラッと並ぶ高級車たち

「…すごい車だね」

(もしかして…もしかしなくても、大樹ってお金持ちなの?)

ブルーのアクアの助手席に促される。

「今、意外…て思っただろ?
俺の歳で、ここにある車と同じランクの車に乗ってたら嫌味だから。
身の丈にあった車に乗りたいんだ」

「このアクアも、十分、高級車だと思うよ?でも、エコカーって、松田くんらしいかも」

ふふふ…と笑う。

あれ?出発しないの?シートベルトもしたよ?

一向に車をスタートさせない松田を見る。

「"大樹"
"同期の松田くん"から脱出したい」

「………」

「はい、読んでみ?」

「た…大樹」

「おりこう」

ニッコリ笑って、私の頭をなでる。

犬ですか?



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