甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
(宮澤さんも私のことを好き?)

「…嘘……」

「嘘じゃない。かっこ悪いついでに白状するけど、その…初恋なんだ。
初めての、自分の感情に戸惑ってる。

もう一度、君の気持ちを聞かせて?

できれば、その…怒鳴らずに」

にやり…いつもの調子を取り戻したのか、宮澤さんが意地悪く微笑んだ。

「私は、宮澤 葵さんが好きです。

今まで、友だちが言ってる恋する気持ち"がどんなものなのか、理解できませんでした。

男の人にキスされても、気持ち悪いとしか思えなかった。

でも、宮澤さんが、私を心配して家まで来てくれて、頬にキスされた時、嫌じゃなかった。もっとしてほしいって思いました。

初めは、この感情が恋なんだって分かりませんでした。私も初恋なんです。

自分に自信もありません。

宮澤さんが、私に優しくしてくれるのは同じ会社の後輩だからなんだと、思ってしまって…」

ぎゅっ…

そっと包み込むように触れていた宮澤さんの手に、力がこもる。

「君は…自分がどんなに魅力的な女の子なのか、分かってない」

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