甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
結局、噂のことも、宮澤さんに腕を絡めた美人さんのことも聞きそびれたな…

でも、私のことを好きだと…好き過ぎるとまで言ってくれてる。

…照れる。

残り香のことも確かめたわけではないから、疑惑のままだけど、

まっすぐに私を見つめ、『俺の心の中にいるのは君だけだ』と言ってくれた。

宮澤さんを信じよう。

大樹にも、ちゃんと話そう。

いつまでも大樹の隣にいてはダメだ。

"仲の良い同期"に戻れるかな…いや、無理か。

「寂しいな…」

自分勝手なつぶやきが、住宅街の静寂の中に吸い込まれた。


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