甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
偶然にも、宮澤さんもケーブル編みの薄手の白いニットだ。

「ふふふ…ペアルックみたいですね」

嬉しくなって、そう指摘してみる。

「本当だ。俺もオレンジ色のパンツを履いてれば完璧だったね。

まとめ髪にしてるの、珍しいな…かわいいね」

「ありがとうございます」

年末の時と同じ、マンションの前に宮澤さんの白いSUVが止めてある。

残り香…

もう匂わない。

『聞きづらくても、怖がらずに聞いてみ?』

大樹の言葉がリピートされる。

「あの、宮澤さん。京都で、シュウさんのお花を乗せて来た日。
バニラとムスクを合わせたような香りがしてたんですけど、アレは何だったんでしょう?」

「…バニラとムスク?年末……?」

うーん。思い出そうと、唸る宮澤さん

「もう、二ヶ月も前のことだし、忘れてますよね?思い出したらでいいです」

(覚えてないってことは、きっとどうってことないのかも)

そう?と言いながらも、頭の中で記憶を手繰り寄せてるっぽい。

どうしよう…悩ませちゃってる。

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