恋の魔法と甘い罠~おまけSS
彼のシャツ。
「ただいま」



そう言いながら玄関で靴を脱いで、調理音が聴こえるキッチンへ向かう。


そして顔を出した俺を振り返ると、満面の笑みで迎えてくれた玲夢。



「おかえり。早かったね」


「ん」



そのままさらに玲夢との距離を詰めようと足を進めると、突然眉を寄せてぱっと視線をそらした玲夢。



「先に着替えてきて」



くるりと背中を向けて、一旦手を止めていた調理をまた再開させた。


つーか、今の変わりようは何?


満面の笑みから一気に表情を曇らせた。


俺、何か言ったか?


考えてみるけれど、『早かったね』という玲夢の言葉に、俺は『ん』と答えただけのはず。


どういうことだ?
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