恋の魔法と甘い罠~おまけSS
「……」


「……」


「何、これ?」


「……あたしが、訊きたいよ」



そこにあったのは、べっとりと付いている真っ赤な口紅とベージュのファンデーション。



「いやいや、俺も知らねーよ!」



本当に身に覚えがないからそう否定するけれど、玲夢はふいっと顔ごと視線をそらしてしまった。



「誰かとぶつかっただけだって!」


「……」


「あ、もしかしたらエレベーターの中かも。帰りすっげえ混んでてさ」



それでもこんなものを見てしまったら気分のいいものではないよな。


玲夢の気持ちもわからないでもない。
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