恋の魔法と甘い罠~おまけSS
そう思ったら対抗心のようなものがふつふつと沸き上がってきて、タクシーから降りるとじとっとした視線を彼に送る。


そしてすぐに視線をそらすと、そのまま意味もなく玲夢の髪を撫でるようにくしゃくしゃと触った。


玲夢は吃驚したように瞳を見開いたけれど、俺は「おやすみ」とだけ言ってそのままタクシーに乗り込んだ。


本当は俺のものにしたい。


でもきっと玲夢はそれを望んでいない。


そう思うと、彼氏には、玲夢に想いを抱いている男が傍にいるんだという危機感を与えて、玲夢の不安に気づいてやってほしい。


もっともっと大切にしてやってほしい。


俺にはできなかった幸せを玲夢に与えてやってほしい。


ただそれだけを願ってしまう。
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