恋の魔法と甘い罠~おまけSS
「つーことで、金曜は暇?」


「えっと、あのね……」



とりあえず断ろうと口を開いたけれど。



「おい、鷹山。課長が早く戻ってこいって言ってたぞ」



同じ営業課であろう人が鷹山くんに声をかけてきた。



「は! そうだった! そのために慌てて食ってたのに忘れてた!」



口一杯になるほどにご飯を掻き込んで食べていたのには、そういうわけがあったんだ……と納得した。



「わり! 金曜のこと考えといて!」



そして立ち上がりながらそう言った鷹山くんは、



「あ、あたしその日は……」



というあたしの言葉を聞くことなく、そのまま足早に去っていってしまった。


どうしよう。
断れなかった。


うんでも、明日にでも断ればいいよね。


そう思いながら、あたしもあまり時間がないんだった……ということを思い出して、残りのご飯を口の中に放り込んだ。
< 91 / 379 >

この作品をシェア

pagetop