腹黒王子に秘密を握られました
 

「お前、あのフィギュアのキャラのどこが好きなの? 見た目?」

「見た目も好きですけど、性格ですね。映画でも出てたじゃないですか。一見爽やかなイケメンの王子様キャラだけど、実は腹黒で人をおちょくって遊ぶのが好きで……」

そう言いながら、うっと言葉に詰まる。
ちらっと横目で金子を見ると、にやにやと意地悪な笑みを浮かべながらこちらを見ていた。

「ふーんそれで?」

「いや、アニメのキャラの話ですからね?」

「俺はなにも言ってないけど?」

「いやほんと、他意はまったくありませんからね?」

やばいやばいやばい。
なんか顔が熱くなる。

慌てて腕で顔を隠すと、金子が私の髪を一筋掴み、優しくひっぱった。
耳もとに口をよせ、ちいさく笑う。

「お前も自分で言ってて、俺に似てるって思ったんだろ」

鼓膜を直接震わせるようにそう囁かれ、ぐわりと心拍数が上がった。

「ち、ち、ちがうしっ! 自意識過剰もいい加減にしろ、この三次元男がッ!!」

「はは、顔真っ赤」

そうからかわれ、さらに顔が熱くなる。
心臓が痛いくらい身体の内側から胸を打つ。

……勘弁して、本当に。

腕で顔を覆ったまま泣きごとのようにそうつぶやくと、金子の手が優しく私の頭をなでた。



 
< 107 / 255 >

この作品をシェア

pagetop