腹黒王子に秘密を握られました
「お前、あのフィギュアのキャラのどこが好きなの? 見た目?」
「見た目も好きですけど、性格ですね。映画でも出てたじゃないですか。一見爽やかなイケメンの王子様キャラだけど、実は腹黒で人をおちょくって遊ぶのが好きで……」
そう言いながら、うっと言葉に詰まる。
ちらっと横目で金子を見ると、にやにやと意地悪な笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
「ふーんそれで?」
「いや、アニメのキャラの話ですからね?」
「俺はなにも言ってないけど?」
「いやほんと、他意はまったくありませんからね?」
やばいやばいやばい。
なんか顔が熱くなる。
慌てて腕で顔を隠すと、金子が私の髪を一筋掴み、優しくひっぱった。
耳もとに口をよせ、ちいさく笑う。
「お前も自分で言ってて、俺に似てるって思ったんだろ」
鼓膜を直接震わせるようにそう囁かれ、ぐわりと心拍数が上がった。
「ち、ち、ちがうしっ! 自意識過剰もいい加減にしろ、この三次元男がッ!!」
「はは、顔真っ赤」
そうからかわれ、さらに顔が熱くなる。
心臓が痛いくらい身体の内側から胸を打つ。
……勘弁して、本当に。
腕で顔を覆ったまま泣きごとのようにそうつぶやくと、金子の手が優しく私の頭をなでた。