腹黒王子に秘密を握られました
 

「あのくらいで寝れないなんていってたら、私のマンションの部屋になんて泊まれませんよ」

実家暮らし時代の部屋より、今の部屋の方が数倍パワーアップしてる。
キャラクターの等身大抱き枕まであるし。

「ふーん、それ俺を部屋に泊めてくれる気があるってこと?」

にやりと笑われて、慌てて首を横に振った。

「いや、ちがっ! それは、言葉のあやですっ!!」

私の部屋に泊めるどころか、あの聖域にひとりたりとも三次元の男を入れるつもりはありませんからっ!!

「なんだ、残念」

「ってか、いちいちそうやってからかわないでください」

ふんっと鼻から息を吐き出して私が怒ると、金子が心外だというように首を傾げた。

「どうして? 腹黒で人をおちょくる男がすきなんだろ?」

「それ、あんたのことじゃないからぁーーーっ!!」

「だからお前、突然叫ぶのやめろよ」

私の叫び声に驚いたタクシーが左右に揺れ、金子が運転手さんに謝りながらくすくすと楽しげに笑った。





 

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