腹黒王子に秘密を握られました
新幹線の駅へ向かうための電車を駅で待っていると、「会社に土産でも買うかな」と言って金子が駅の売店を覗きに行った。
本当にマメな男だ。
私旅行に行ったって、会社にお土産を買ったことなんて一度もないかも。
仕事に関しては真面目に手を抜かずやってるつもりだけど、こういうところがダメだよなぁと、ズボラな私を反省しながらぼんやりとホームのベンチに座っていた。
「あれ、もしかして、友野?」
突然名前を呼ばれ、驚いて顔を上げると、スーツ姿の男が私の顔をまじまじと眺めていた。
「えっと……?」
誰だっけこの人。
そう思いながらベンチに座ったままぼんやりと見上げる。
「懐かしー。お前、今こっちに住んでんの?」
「いや、東京だけど。今日はたまたま」
「あー、そうなんだ。今度東京で同窓会するって連絡来た?」
「知らない」
同窓会ってことは、同級生か。
そう思いながらスーツ姿の男をながめる。
なんとなく幼いころの面影があるかも。
確か、同じクラスでお調子者だった男の子だ。
野球部で坊主頭だった彼はいつもふざけて、先生にげんこつをされてた気がする。