腹黒王子に秘密を握られました
 

「誰からも連絡きてないの? あー、お前漫画ばっかり読んでて、友達いなかったもんな。教室でほとんど喋んなかったし。今でもオタクなの? そんなわけないか」

「今でもがっつりオタクだけど」

「マジか。潔いなお前。そんなんだから、クラスで浮いてたんだぞ」

そんな会話をしていると、買い物を終えた金子がこちらに近づいてきた。

「誰?」

口元に柔らかな笑みを浮かべ聞いてくる。

「あー、同級生?」

「なんで疑問形だよ」

「だって、名前も思い出せない」

「ひでぇ」

スーツ姿の同級生は苦笑いして金子にぺこりと頭を下げる。

「友野と中学ん時同じクラスだった、岸田です」

「こっちは、同じ会社の……」

そう金子を紹介しようとすると、

「莉央の恋人の金子です」

と先回りをして宣言された。

「マジか。友野すげぇイケメン捕まえたなぁ。ちょっと握手してください」

そう言って、なぜか同級生岸田は金子に向かって手を差し出す。
なんで握手してんのこいつら。

「なにしてんの、意味わかんない」

「いや、なんとなく。これだけイケメンなら女選び放題なのに、わざわざ友野を選ぶって、勇者だなぁと思って」

「それって俺、褒められてる?」

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