腹黒王子に秘密を握られました
 

「褒めてます、かなり。こいつ、中学の頃からずっとオタクで学校でほとんど喋んなくて、苛めまではいかないけど女子からはぶられてたのに、いっつも背筋ぴんとのばして堂々とひとりで好きなことしてて、かっけぇなぁって思ってたから」

「ちょっと、そこの岸田とかいうやつ、変なことを言わないように」

「なんでだよ。褒めてやってんのに」

「どこが褒めてるんだ」

「あ、俺電車来たから、行くわ。友野、イケメンの彼氏と仲良くな」

言いたいことを好き勝手言って、去って行く岸田。
なんなのあいつ。そう思いながら後姿を睨んでいると、金子が私の隣に腰を下ろしくすりと笑った。

「お前の、人にこびずに堂々としてるところって、昔からだったんだな」

「友達のいないオタクだったから、仕方なく開き直ってただけですよ」

「そう? お前のそういうところ、すごい好きだけど」

「な……っ」

さらりと好きだと言われて、思わず変な声が出た。

冗談でもそんなに簡単に好きだとか、言わないでほしい。
これだから三次元のイケメンは調子に乗っていてイヤなんだ。


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