腹黒王子に秘密を握られました
 


すぐに金子がフォローし、柴崎くんにも頭を下げさせその場はなんとか取り繕ったけれど、顔を真っ赤にした拓斗くんの表情が忘れられなくて、私は次の商談の約束の家に移動する車の中で、ぼんやりと窓の外を眺めていた。


「柴崎、お前もう少し物を考えてからしゃべろ」

金子が運転しながら静かにそう言う。

「はい。でも、すごい気になったんですもん」

新人が叱られて、でも、なんてすぐに反論しちゃだめだろう。
しかもまったく反省の色が無い。

もしかしてこいつ、二課で扱いに困って一課に丸投げされた問題児なのか?
そんな私の予想は大当たりだったようで、次にお邪魔した西村さんのお宅でも、大きなミスをやらかした。



< 120 / 255 >

この作品をシェア

pagetop