腹黒王子に秘密を握られました
すぐに金子がフォローし、柴崎くんにも頭を下げさせその場はなんとか取り繕ったけれど、顔を真っ赤にした拓斗くんの表情が忘れられなくて、私は次の商談の約束の家に移動する車の中で、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
「柴崎、お前もう少し物を考えてからしゃべろ」
金子が運転しながら静かにそう言う。
「はい。でも、すごい気になったんですもん」
新人が叱られて、でも、なんてすぐに反論しちゃだめだろう。
しかもまったく反省の色が無い。
もしかしてこいつ、二課で扱いに困って一課に丸投げされた問題児なのか?
そんな私の予想は大当たりだったようで、次にお邪魔した西村さんのお宅でも、大きなミスをやらかした。