腹黒王子に秘密を握られました
 

「すいませんお騒がせして。その上無断で木に登って枝を折ってしまって、申し訳ありません」

金子が西村さんを振り返り頭を下げる。

「いえ、柿の実を取りたいなんて言ったこちらも悪かったですし。大した怪我がなくて本当によかった」

西村さんもほっとした様子だった。

「すいませ……つぅっ」

そう謝りながら立ち上がろうと地面についた左手に体重をかけた途端、柴崎くんが顔をしかめた。

「柴崎、お前一応病院行ってこい。多分、手首ひねってるだろ。友野さん、社用車で病院に連れていってやって。俺は商談終わってから電車で戻るから」

「わかりました」





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