腹黒王子に秘密を握られました
――まったくなにやってんだてめぇは!
拓斗くんちで無神経な質問したと思えば、西村さんちでは家の中にも入らずのんきに庭で草むしりなんてして。
その上人の話も聞かないで木に登って落ちるなんて、お前はでっかい子供かよっ!!
と怒鳴り散らしてやりたい気持ちをぐっと押さえて、大人しく車を運転する。
「ねんざですんでよかったね。でもあんな高い木から落ちて、打ち所がわるければ命にもかかわるんだから、気を付けなきゃだめだよ」
病院で鎮痛剤と湿布をもらい、手首に包帯を巻かれた柴崎くんは、すいませーんと助手席で明るく笑っていた。
てめぇ、へらへら笑ってんじゃねーよ。
反省してねぇな、このやろう。
「それにしても、さっきの友野さん、別人みたいにこわかったなぁ。びっくりした」
「……うっ」
咄嗟に怒鳴ってしまったことを言われ、顔がこわばる。
やばい、普段猫かぶってるの、バレたか。
「それだけ俺を心配してくれたってことですよね。嬉しいです」
にこにこと嬉しそうに笑われて、ほっとして肩の力が抜けた。
よかった。ばれてない。さすが天然後輩キャラ。深く物を考えないようだ。