腹黒王子に秘密を握られました
「ってのは冗談。朝イチで商談入ってるから、その準備で早めに出てきただけ」
「くっ……!」
からかったな、この性悪王子が!
くっそ、ほんとタチ悪いこいつ!!
ゼロ距離で甘く囁かれたせいで、膝に力が入れられず崩れ落ちた私を見て、楽しげに笑うこの男。
このまま私が立ち上がれなくなったら、一体どうしてくれるんだっ!!
労災請求するぞ、オラァ!!
ギリギリと歯ぎしりしながら金子のことを睨んでいると、
「ほら、いつまで転がってんだ。バス降りるぞ」
私は金子に引きずられるようにして、バスから降ろされ会社に連行された。