腹黒王子に秘密を握られました
事務所で管理物件の鍵をチェックしていると、柴崎くんが手持無沙汰のようすできょろきょろとあたりを見回していた。
まるで飼い主を待つワンコのようだ。金子を探しているのかな。
私の脳内ではすっかり柴崎金子のカップリングが成立してしまっているので、思わず腐った視点で見てしまう。
「友野さん、なにかお手伝いすることないですか?」
「金子さんの手伝いはいいの?」
「今日は特にいいそうです。審査の書類を確認したり法務局に行ったりするって」
「じゃあ週末のオープンハウスの準備をしてもらってもいいかな」
「はい!」
私の言葉に元気よくお返事。
お、金子の指導のおかげか、ちょっと態度がよくなってきたかも。
なんて思いながら、物が詰め込まれている倉庫へと向かう。
「ここに現地までの道案内の看板と、のぼりの旗があるから、リストにあるものを取り出しやすいようにまとめておいてくれる?」
「はい」
「スーツ、汚れると困るから、脱いだ方がいいよ」
「あ、ありがとうございます」
柴崎くんから脱いだスーツを受け取って、変に型が崩れないように綺麗にたたみ、汚れないところに置く。