腹黒王子に秘密を握られました
「おいしいですか?」
じゃあなんで柴崎くんは、なにも言わないんだろう。
「そりゃ、風邪で弱ってる友野さんを追い詰めても面白くないからですよ」
「はぁ!?」
突然そう言われ、口に入れたおかゆをふきだしそうになる。
今こいつ、なんつった!?
「どうせ追い詰めるなら、元気でイキのいい友野さんを追い詰めたいです」
「な、ちょっと……!?」
「友野さんって、ふたつのことを同時にするの苦手でしょ? っていうか、常に裏と表を使い分けてるから、風邪で頭がもうろうとしてたり車の運転とか慣れないことをするとキャパオーバーで、本音が口から出ちゃうのかな」
げ。本音、口から出てましたか!?
「前に俺を病院に連れて行ってくれた時も、運転しながら本音漏れてましたよ」
「まじか……」
最悪。ってことは、柴崎くんには私の本性もうばれてるってこと!?
「結構前から友野さんってなにか裏がありそうだなとは思ってましたけどね。こんなオタクだとは思わなかったです」
柴崎くんは童顔の人懐っこい笑顔を浮かべながら、ぐるりと私の部屋を見回す。
「この趣味、会社の人には隠しておきたいんですよね?」
「お、お願いだから会社の人には言わないで……」
「どうしようかなぁ」
こてんと首をかしげてこちらを見る柴崎くん。
無邪気な笑顔が意地悪な表情にかわる。
それを見て私は悟った。
あ、これ私の人生終わったわ。(二回目)