腹黒王子に秘密を握られました
「最近お前たち仲良しだなー。金子に怒られるぞ」
そんな私たちの様子を見た課長が、からかって声をかけてくる。
「仲良しなんて、柴崎くんがふざけてるだけですよ」
苦笑いしながら、柴崎くんから距離を取る。
そんな私に柴崎くんが頬を膨らませた。
「友野さん、金子さんと別れたから平気ですよねー?」
そんな無神経なことをいわれて、額に青筋が浮く。
「え、友野さんと金子、別れたの!?」
驚いて声をあげる課長に、気まずくて背を向けた。
すると、ちょうど金子がこちらに歩いてきた。
「あ……」
なんて悪いタイミングだ。こんな話をしてるところに金子がくるなんて。
「お、金子! お前、友野さんと別れたのか?」
興味津々で聞いてくる課長に、金子は小さく笑いながらなんでもないことのように頷く。
「はい、残念ですけど」
「そっかぁ。みんなお前らお似合いだって言ってたんだけどなぁ」
腕をくんでそう呻る課長に、綺麗な笑みをうかべたままで会釈をして歩いて行く金子。
その間、私のことを一度も見なかった。
完全に無視された。
そのことが悲しくて、うつむいて唇をかんだ。