腹黒王子に秘密を握られました
 


半年くらい、休みがほしい。



そうしたら、大量にカップ麺とレトルト食品を買い込んで、部屋の中に籠城するの。

テレビでは大好きなアニメのDVDをエンドレスで流し続け、キャラクターのクッションやグッズで埋まったベッドの上で、イベントで買い込んだ宝物の同人誌を何度も何度も読み返して、頭の中に湧き出る妄想を漫画にして書きなぐって、ひたすら二次元の世界に浸りたい。

会社のことなんて全て忘れて、大好きなことだけ考えていればいい生活を送りたい。


そうしたらきっと、金子のことなんて頭の片隅からも消えてなくなると思う。
こんな理解不能な胸の痛みに、わずらわされることもなくなると思う。

そのためには、いくらお金があったらいいだろう。
なんて頭の中で貯金を計算してみたけれど、毎月イベントやグッズに多額のお金をつぎこんでいる私に、半年間も仕事をせずにひきこもる余裕があるはずもない。

これはもう、宝くじを買うしかないのか。
宝くじを当てて、俗世に別れを告げ、二次元の楽園を目指すしかない。

そんなことを考えていると、

「友野さん、頭大丈夫ですか?」

と、柴崎くんに心配された。


 
< 177 / 255 >

この作品をシェア

pagetop