腹黒王子に秘密を握られました
「へっ!?」
ぎょっとして振り向く。
まさか、こんな時間に人がいるとは思わなかった。
「友野さん、こんな時間にどうした?」
不思議そうに首を傾げる人影は、よりによって金子敦。
「か、か、金子さんこそ……」
ひきつった顔でそう言いながら、さりげなく身体を動かし画面を隠す。
やばいやばいやばい。
ホモ同人誌の原稿を印刷所に送ってたなんてバレたら、一貫の終わりだ。
「俺はさっきまで二課の子とご飯食べてたんだけど、一件確認したい案件あったから帰りに寄ったんだよね」
「そ、そうですか、仕事熱心ですね。お疲れ様です」
「友野さんは?」
ひょいと画面をのぞこうとする金子さんの視線を、慌てて身体で遮る。
「わ、私も同じような感じ、です……」
普段の完璧な自分はどこへいったのかというくらい、しどろもどろになりながら苦しい言い訳をする。