腹黒王子に秘密を握られました
自然と距離の縮まるソファー席に、当然のように横並びで座る柴崎くん。
男の人と同じソファーに並んで座るなんて経験の無い私はこの状況が落ち着かなくて、さりげなく距離を取るために一番端までじりじりと身体をずらす。
「そんな警戒しなくても。友野さんって金子さんとふたりでいる時も、そんな感じだったんですか?」
「え……?」
そう言われて首を傾げる。
金子といる時はどうだったっけ……?
一緒に出掛けたことはほとんどなかったけど、コンビニでアニメのくじをひいてくれたり、私に付き合って映画を見てくれたり、実家で両親の話をイヤな顔ひとつせず聞いてくれたり、私がしゃれっ気の無いやる気のない恰好をしていても文句言わなかったり。
男の人は苦手なはずなのに、金子といる時は少しも息苦しくなかった。
素のままの自分を受け入れてくれて、ものすごく居心地がよかったなぁ。
ぼんやりと金子のことを思い浮かべていると、柴崎くんが不機嫌そうに顔をしかめた。
「どうして俺じゃ、ダメなんですか?」
真剣な表情で詰め寄られ、言葉に詰まる。
座り心地のいいソファーの上で、柴崎くんがこちらに体重をかけると、ふわりと腰の下のクッションが沈み込んだ。