腹黒王子に秘密を握られました
「はぁ!? 見合い!? なになめたこと言ってんだよっ!」
「べつになめてないです! ってか、どうせ私を振るんだから、私が見合いしようがどうしようが金子さんには関係ないでしょっ!?」
私のこめかみを鷲掴む金子の手をベシベシと叩きながらそう叫ぶと、ようやくその手が外れた。
痛かった……。
ズキズキと痛む頭を抱えながら金子の方を見ると、不貞腐れたような顔で睨まれた。
「お前、その関係ないっての、やめろよ」
「え……?」
「好きな女を必死で口説いてんのに、あんたには関係ないって言われる情けない男の気持ち、わかるか?」
「へ……? 好きな女?」
頭を抱えたまま、ぽかんとして金子を見る。
きっと私、ものすごい馬鹿面をしてると思う。
「好きでもない女に恋人のフリをしろなんて、言うと思うか? 普通気付くだろ」
「え、好きな女って、私のこと……?」
金子が、私を好き?
ありえない衝撃発言に、頭が真っ白になる。
「ずっと分かりやすく口説いてたつもりなのに、誰に触られようが誰を誘おうが関係ないとか言われるし、無防備に柴崎を家にあげるし、俺には甘えたことなんてないのに柴崎にはもっと触ってとか可愛いこと言ったらしいし、柴崎に付き合ってって言われたとか報告してくるし。もうこいつは柴崎のことが好きなんだなって完全に諦めてたら、いきなり押しかけてきて『好きです。でも実家に帰って見合いします』って、なんなんだよお前。意味わかんねぇ」