腹黒王子に秘密を握られました
 
「嘘だぁ……。私口説かれてなんていませんよ」

「ただの興味本位でわざわざ新幹線に乗って他人の実家に行くほど暇じゃねぇし、結婚も考えてない女の両親に挨拶なんて非常識なこと、する訳ねぇだろ」

「けけけけけけ結婚……!?」

「それくらい本気でお前に惚れてるって、意思表示のつもりだったんだけど?」

「そんなの、わかんないですよ!」

「それに、好きでもない奴のためにコンビニで何回もくじひかねぇから」

「くじ!?」

驚いて顔を上げる。

金子がコンビニで当ててくれたA賞のフィギュア。
もしかして、あれは一回で当てたんじゃなく、出るまで何回もひいてくれたの!?

「そうだよ。お前を喜ばせたくて、出るまで何回もねばってたら、店員たちが集まって来てなんか応援しはじめて、すげー恥ずかしかったんだからな」

「待って待って! 結局何回くじひいたんですか!?」

「二十まではいかなかったと思うけど……」

「A賞以外は、何が出たんですか!?」

「あー、なんか小さいぬいぐるみとか、ストラップとか……」

「それ、どうしたんですか!? まさか捨ててないですよね!?」

「誰か欲しいって言う奴がいたらあげようかと思って、とりあえず家においてあるけど」

「欲しいですっ! すんごい欲しいですっ!!」

思わず金子にしがみついて、そう叫ぶ。

ぬいぐるみなんて、人気が高くて需要があるくせに、なかなか出回らない超貴重なお宝じゃないか!
飾ってよし、愛でてよし。しかも洋服を手作りしてお着替えを楽しめる、美味しすぎるアイテムっ!!
ヨダレがでるほど欲しいぃぃぃぃ!
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