腹黒王子に秘密を握られました
「ほんと、お前は柴崎のところに行っちまうのかなと思った」
「……そんな、金子さんのことが好きなのに、他の男のところなんて行くわけありません」
「お前、なに考えてるかぜんぜんわかんねーし」
「私は、金子さんのことばっかり考えてました」
私のことを抱きしめて、肩に頭を置いたまま話し続ける。
こんな外で抱きしめられてるなんて、落ち着かないし心臓がはじけ飛びそうだけど、頬に触れる金子さんの柔らかい薄茶色の髪が気持ちよくて、もう少しだけこのままでいたいと思ってしまう。
「最初は誰にでもニコニコする、八方美人のうさんくせぇやつだなと思ってたし、本性知ってからは性格のねじ曲がった野郎だなと思ってたんですけど」
「散々な言われようだな」
「でも、気づいたら好きになってました。からかわれて振り回されて、迷惑だって思っていたはずなのに、いつの間にか金子さんのことばっかり考えてて……」
たどたどしい言葉で必死にそう言うと、ゆっくりと金子が視線を上げ私の顔をのぞきこむ。
「……本当に?」
試すように甘く問われ、頬が熱くなる。
今まで聞いたことが無い、甘い熱をはらんだ声色。
色っぽすぎて、反則だ。
私は声もだせずに、ぶんぶんぶんと必死で首を縦に振る。
だから、いい加減離して。
このまま抱きしめ続けられたら、血圧が限界突破してしまう。