腹黒王子に秘密を握られました
 
じたばたと胸の中でもがく私を金子は小さく笑いながら、抱きしめる腕に力を込めた。

「じゃあ莉央が、俺のことちゃんと好きって言ったら離してやる」

「え、さっき言いましたよ」

「あんなやけくその告白、数に入らねェよ」

「ひどい」

「嫌なら、離さないけど?」

意地悪に囁かれて、くそうと頬を膨らます。

「……好きです」

「誰が?」

「金子さんが」

「もっとちゃんと」

まるで出来の悪い生徒にレッスンをするみたいに、金子が私の言葉を促す。

ああ、もう。
分かってるくせに。
それでも言わせたがるなんて、この男本当に性悪だ。

もう半分やけくそで、私は大きな声で言った。

「金子さんが、三次元で、一番好きですっ!!」

一世一代の大告白。
これで文句はなかろう。
と、金子の顔を見上げると、なぜかその綺麗な眉の間には、大渓谷のような深い深いシワが刻まれていた。

「はぁ……? 三次元で一番?」

「そ、そうですけど、なにか?」

なぜ金子は怒ってるんだ。

理解できずにぱちぱちと瞬きを繰り返す。

「テメェ、まさか俺より二次元の方が大切だとか言わないよな」
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