腹黒王子に秘密を握られました
「だれがDV男だ、バカヤロウ」
不機嫌そうに言って、床の上にうつぶせになっていた私をごろりと転がした。
「ふぁ?」
油断していたせいで簡単に仰向けにされた私の視界には、むかつくほど余裕綽々の表情でこちらを見下ろす金子。
……あ、なんかこれヤバい状況だ。
本能が危険を察知して、じわりと背中に冷たい汗が浮き出る。
ひきつる私の顔を見て、金子がふっと息を吐いて笑った。
ゆっくりと髪を梳き、うなじに唇を押し当てる。
「ひ……!」
皮膚に触れた温かい感触に思わず小さく飛び上がると、今度は唇に。
唇が触れるたびにぞくぞくという甘い痺れが背筋を走る。
未知の感覚にどうしていいのかわからずに、金子の身体の下でよじりながら叫んだ。
「ま、まってまってまってまって!」
「逃げんな、コラ」
必死に顔を逸らすと、顎に手を添えられて正面をむかされた。
「ほら、顔上げて、口開けて」
「んっ」
ぎゅっとめをつぶり唇を固く閉ざした私におかまいなしで、何度も繰り返し触れるだけのキスをする。
唇が柔らかくて、死にそう。
かぷり、とついばむように唇を食まれ、床の上に転がった身体がびくんと大きく跳ねた。