腹黒王子に秘密を握られました
「ほら、ちゃんと息しろよ」
そう促されて、自分が息を止めていたことに気付く。
慌てて口を開いて、ぷはぁと空気をすいこむ。
脳みそが沸騰しそうに熱くて、どうにかなりそう。
さっきから身体の中で、誰かが太鼓を打ち鳴らしてるのかっていうくらい心臓がうるさくて、今にも爆発しちゃいそうだ。
そんないっぱいいっぱいの私に、さらに唇をよせる金子。
「や、やめて、金子さん……っ!」
「ちゃんと会社行くか?」
「うっ、それは……」
「じゃあ、やめねぇ」
そう言って、唇の隙間から舌を差し込んできた。
口の中の粘膜をぬるりと湿って柔らかい舌でなぞられて、ぞくりと全身の毛穴が開く。
「ひゃあ! わかった! わかったから! 会社行くからぁぁぁ!!」
たまらず私が叫ぶと、金子は満足そうな表情で身体を起こし、にやりと笑った。
……こいつ、ほんと悪魔。