腹黒王子に秘密を握られました
「でででで、電気、とか……っ!」
「そうだな。気が散るからテレビは消すか」
頷いて、テーブルの上に置かれたリモコンに手を伸ばし、テレビの電源を落とす。
「これでいい?」
ぷつりと音が消え、静かになった室内で、改めてベッドに押し倒された彼女のことを見下ろして微笑んでみせる。
「よ、よくないです……! テレビよりも、電気を……っ!」
「後でいい」
「後で消しても意味ないですーっ!!」
莉央の絶叫を唇で塞ぎながら、足で膝を割り太腿をなであげる。
「あ……、やっ」
途端に漏れる甘い声。俺の手のひらに、唇に、簡単に翻弄されて溶けていく身体が愛おしい。
たまらずぎゅっと力まかせに抱きしめると、「いた……っ」と小さく莉央が声を上げた。
「重かった?」
身体を起こし見下ろすと、莉央は小さく首を横に振り、俺のスーツの上着を指先で掴んだ。
「なにか、固いものがあたって」
「ああ、忘れてた」
そう言われて思い出し、スーツのポケットに手を入れた。
「そういえば、取引先の業者からもらったんだ。よかったらアシスタントの女の子にって」
取り出した小さな可愛らしいパッケージ。それを莉央に渡すと、不思議そうに首をかしげた。
「なんですか、これ」
「ボディクリームとか言ってたかな」
「へぇ……。ありがとうございます」
莉央はまったく興味なさそうに手の中のボディクリームを眺めながら、一応お礼だけは言う。