腹黒王子に秘密を握られました
「ここに、なに入ってんだよ」
「秘密です!! 見たら死刑ですからっ!」
「じゃあ見せなくてもいいから、なにが入ってるのか言ってみろよ」
「ダメです!! 絶対教えない!」
「そう言われると、余計気になる」
「ダメ……! 本当にっ!!!」
ふたりとも意地になってそんなやりとりをしていると、暴れた莉央の手が引き出しの取っ手にぶつかり、がたん音を立て引き出しの中身がベッドの上に散乱した。
「ぎゃーーーーっ!!! 見ちゃだめぇぇぇぇッ!!!」
絶叫しながら散らばった物をかき集めようとする莉央の前で、俺はぽかんとしながら一枚の写真を手にとった。
中に入っていたのは全て、俺の写真だった。
「なにこれ」
会社で仕事をしている俺の写真や、社員旅行に行ったときのもの。隠し撮りもあるんだろう。
撮られた覚えのないものも多い。
「もう……っ! 見ないでって、言ったのに……っ!!」
莉央は顔を真っ赤にしてそう叫んだかと思うと、ベッドの上につっぷし、頭を覆ってしくしく泣き出す。
「もうやだ……絶望だ……。勝手に金子さんの写真を集めて寝る前に眺めてたなんてバレて、恥ずかしくて生きていけない……。もう私はこれから墓を掘るしかない……」
写真集めてたのかよ。
寝る前に眺めてたのかよ。
それを必死で隠してたのかよ。
しかも、わざわざ隠し撮りまでして。