腹黒王子に秘密を握られました
たった今、女に困ってないって言ったばっかりなんですけど!?
なんで付き合ってるフリなんてしないといけないわけ!?
意味わかんないんですけどっ!
「めんどくせーんだよ。他の課の女にいちいち言い寄られんの。彼女がいるって言えば、誘われなくて済むだろ」
「し、知らないですよ、そんなの! 女の子からの誘いくらい自分で断ってくださいよ」
「だったらこれ、課長に渡してもいいんだ?」
「うぐ……っ」
金子は鬼の首を取ったといわんばかりのどや顔で、右手に持ったUSBを振って見せる。
「ってか、金子さん、会社とキャラが違う……!」
仕事中はつねに笑顔を絶やさない、人当たりのいい王子様キャラだったのに!
女の子に誘われて、めんどくせーなんて絶対言いそうになかったのに!
八方美人の爽やかイケメンキャラはどこにいった!!
「お前に言われたくねーよ」
「ぐぬう……っ」
もっともな反論に、私はつぶれたカエルみたいな声しか出ない。