腹黒王子に秘密を握られました
「で、どうする?」
冷たい視線で見下されて、私はギリギリと歯ぎしりをした。
「付き合うフリくらい、いいよ」
そう返事をしたのは私じゃなくて、隣に座る花乃。
私たちのやりとりを面白そうに眺めていた花乃は、金子を見上げ勝手にオッケーと笑った。
「いや、なに勝手にオッケーしてんの。よくないから! 微塵もよくないからっ!」
「そう? この人イケメンだし別によくない?」
「いやだよ! こいつなんてしょせん、三次元の男だよ?」
「次元を超えて貶されたのは、はじめてだな」
私たちのやりとりに、あきれたように息を吐き出す金子敦。
しかしその顔に浮かぶのは、優越感に満ちたような笑顔。
私がその要求を断れないことは、もちろんわかっていて。
「さぁ、どうする?」
獲物を追い詰めた捕食者のように、にやりと笑った。