腹黒王子に秘密を握られました
「お前って、誰に頼まれてるわけでもないのに、自分から朝早く出社してトイレ掃除したり、いつも花の世話をしたり、ゴミをちゃんと分別したり。そういう見えない部分をすごく真面目にやるよな。人の見てないところで自然とそういうことが出来るの、すげーと思うよ。トイレにこもってメイク直しばっかりしてる女子に、見習えって言ってやりたい」
「別に、誰かのためにやってるんじゃなく、自分のためなんで」
「自分のため? 潔癖なのか?」
「いや、むしろズボラな方ですけど。徳を積んでいるんです」
「は? とく?」
「いい行いをすると運が上がるっていうじゃないですか」
「なんだそれ。いい行いって、修行僧かよ」
ぽかんとする金子に、ふんと鼻を鳴らす。
理解してもらえなくてけっこうだ。
「くじで推しキャラのグッズを自引きでゲットできるように、運を上げたいんですよ」
「くじ?」
「一番くじとか、みんくじとか知りません? コンビニに置いてるやつ。あれで好きなアニメのキャラクターのラバーストラップとA賞のフィギュアが欲しいんです。ラバストはまだなんとかなりそうですけど、A賞のフィギュアはかなり確率が低いので、いいことをして徳を積まないとゲットできないじゃないですか」