腹黒王子に秘密を握られました
私が真顔でそう言うと、金子は困惑したように首を傾げて唸った。
「お前、ほんと意味わかんねぇ。高尚な話かと思ったら、煩悩にまみれてんな」
「ほっといてください」
「ちなみにその好きなキャラってどんなの?」
「秘密です」
なんで私が自分の好きな人をこんなやつに紹介しないといけないんだ。
大切な嫁は自分の胸にそっと秘めておいて、同族の仲間たちとだけ分かり合えればいいんだ。
「ふーん。教えてくれないんだ?」
そう言いながら金子はポケットからUSBを出して、私の目の前で左右に振る。
「はぁ……っ? ちょっとそれ、なに持ち歩いてんですか!?」
「んー、たまたまポケットに入ってただけだよ」
「返してくださいよ! 約束通りちゃんと恋人のフリしてるんだから!」
「お前、俺に恋人らしいことなんかしたっけ?」
「……うっ」
そう言われて言葉に詰まる。
確かに、一方的に恋人宣言されただけで、金子の恋人らしいことなんてひとつもしてなかったかも。
「返してほしかったら、恋人らしくかわいくおねだりしてみろよ」
不遜な笑みを浮かべ、とんでもない無茶ぶりをする性悪男。